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広島税理士のひとりごと『本当の節税とは』

2021/02/20 [SAT]

《中古のクルーザーの購入は節税になるのか?》

 

あなたは、とにかく納める税金が少なくなることが節税と思っていませんか?

 

中古のクルーザーの購入で経費(減価償却費)を増やし

税金を少なくすることが本当に節税になっているのでしょうか?

 

12月決算の会社に、販売業者がやってきて、

「中古のクルーザーを購入すれば2年で全額経費に落とせ税金が安くなりますよ!」との

うたい文句で購入を勧められ、社長はつい税金が安くなるならと購入してしまうのです。

 

実際に1月に中古クルーザー(中古の耐用年数2年、定率法)を5,000万円で購入した場合、

5,000万円全額を減価償却費として経費に計上でき、法人税等の実効税率を30%とすると、

節税効果は1,500万円となります。一見大きな節税効果があるように見えます。

 

一方、現金の流出から見ると、購入資金5,000万円から1,500万円を引いた3,500万円が、

会社から出ていくお金が多くなります。

 

★中古クルーザーを購入した場合としない場合の比較      (単位:万円)

 

購入した場合

購入しない場合

現金の流出差額

減価償却前所得

5,000

5,000

 

減価償却費

(購入価格)5,000

0

 

減価償却後所得

0

5,000

 

法人税等(30%) 

0

1,500

 

現金流出

5,000

1,500

3,500

会社に残る資産

クルーザー

現金3,500

 

 

クルーザーを従業員や得意先の接待等に使用することで

売上を創出することができるなら購入も有りでしょう。 

 

しかし、多くの場合、社長自身のプライベートな使用や見栄のために

購入している場合が多いのではないでしょうか?

 

購入前によく考えてください。

3,500万円の現金を得るための売上高はいくらになるのか。

営業利益率を5%とすると7億円の売上が必要となります。

 

中古クルーザーは7億円の売上に匹敵する価値があるのでしょうか?

中古クルーザーは会社にとって不可欠な事業用投資と言えるのでしょうか?

3,500万円を新たな売上を創出する投資(工場や機械設備等の事業上の不可欠な資産)に

向ける方が会社にとってより有効なのではないでしょうか?

 

(クルーザーは、将来売却して現金化することはできますが、

通常は価値の減少がありますから、5,000万円では売れないでしょう?

仮に5,000万円で売れた場合は(原価は0円)1,500万円の法人税等が発生します。

この場合は、税金の先送りにしかなりません。)

 

会社の存続・発展は、事業で得た利益を次の事業活動に投資し、

その投資を上回るリターンを得ることの繰り返しにより成り立ち

事業拡大につながっていきます。 

 

節税は、投資に使う資金を会社に残すための節税でないと意味がない節税となります。

単に税金を減らすことを目的とすると、

たくさんの経費(リターンのない経費)を使ってしまい、

場合によっては、本当に節税できない会社に・・・な~んて悲惨なことに?

 

広島総合税理士法人