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広島税理士のひとりごと『年度末感』

2018/04/10 [TUE]

年度末感

 

  3月20日に本文書を書いています。一般的に年度末と言いますが、この由来をご存知ですか?

 年間収支を分類整理する期間を「会計年度」とか「事業年度」と呼びますが、これらは法律で定められています。学校法人は私立学校法第48条で「会計年度」と定められ、社会福祉法人は「会計年度」とされます。株式会社の年度は会社法で、消費生活協同組合は施行規則第69条で、それぞれ「事業年度」とされています。

 国の「会計年度」は明治維新以降多くの変遷を経ています。明治元年の「会計年度」は旧暦1月-旧暦12月制でした。次に大蔵省が明治2年に創設され旧暦10月-旧暦9月制に変更され、明治5年にグレゴリオ暦へ改暦されたため、1月-12月制に、明治6年地租法改正が行われたため、地租の納期に合わせ7月-6月制に変更され、明治17年の財政赤字を明治18年の酒造税で穴埋めしたことから、明治19年から4月-3月制に変更され現在に至っています。

 終戦後は日本国憲法第86条、第90条で会計年度の用語が記載され、憲法を受けて財政法第11条で「国の会計年度は、毎年4月1日に始まり、翌3月31日に終わるものとする。」地方自治体法第208条第1項で同様に規定されています。前述の私立学校法第48条、社会福祉法第45条の23第2項でも4月-3月制が規定されています。

 事業会社は根拠法で、事業年度を事由に定めることができますが、株式会社の中で東京証券取引所上場会社1,934社のうち3月決算会社が1,437社(74.3%)となっています。

この意味合いで、3月は年度末感があるのだと思います。

 ちなみに、他国の状況は、韓国、フランス、ドイツ、オランダ、ロシア、中華人民共和国等が1月-12月制。日本と同様の4月-3月制は、英国、インド、カナダ、デンマーク等、7月-6月制がノルウェー、スウェーデン、フィリピン、オーストラリア等、10月-9月制がアメリカ合衆国、タイ王国、ミャンマー等です。

 基本的には財政年度・課税制度が前提で会計年度が定まり、国の財政年度の影響で「事業年度」も決定されているようです。

 

広島総合税理士法人