トピックス

広島総税理士のひとりごと『ひと春の体験 (これって いかがなものか)』

2019/05/20 [MON]

 ある国の税法は、一読して「難解」、二読して「誤解」、三読して「不可解」と言われるほど、読みにくく、かっこ書が多重になっていて、もはや何が書いてあるか完全に意味不明状態なのです。

ですから、税務当局は、税法の適用を統一的に行っていくために、税務職員向けの法令解釈通達を作成して、それをよりどころにして仕事をしているのです。

 

 そのような国のとある会社は、通達にある「短期の前払費用」に該当するとして、毎期継続して、事業年度の最後の日に翌事業年度の1年分の使用料を損金に計上する経理をしてきたのでした。

 この春、とある会社の税務調査をした調査官は、1年分の使用料は通達にある、『その支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るもの』に該当しない(1年を1日超えている)として、損金の計上は全額ダメだと指摘したのでした。

 

 本来、この使用料は前払費用であり損金とならないもので、通達の文言どおりとすると1年を1日超えているので全額損金にならないのかな? 毎期継続しているので課税上弊害がないように思われるが? 何かないかと色々調べていると、税務当局のホームページの質疑応答事例に「短期前払費用の取扱いについて」という事例が公表されているところに行き着いたのでした。

 そこには、ケース別の事例が数例掲載されており、指摘された「翌事業年度中に役務提供の開始がある場合も、ここでいう前払費用に該当するものとして取り扱う」とされているのでした。

 

 このことは、実務では、通達を文言通りに読んで処理しても、それ以外の処理も認められるということであり、税務関係に携わる者(税務職員、税理士等)にとっては、通達のまた通達(質疑応答事例、文書回答等)があることになり、益々「厄解(介)」なことになっているのです。

 

これって、いかがなものか・・・