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広島税理士のひとりごと『誰も踏み込まんかった税金の話~宗教法人はなぜ非課税なのか?~』

2019/12/20 [FRI]

神様・仏様は神聖だから、お賽銭はしても、神様・仏様からお金を取るなんてと昔の人は考えていました。

 

青山学院大学学長の三木義一先生の著書に「税のタブー」(㈱集英社インターナショナル)という本があります。 その本には、原則として宗教法人の収入は「非課税」なのですが、それはなぜなのか?を税務理論で説明されています。

 

 宗教法人は「公益法人」であり、

① 本来国や自治体が行うべき教育や福祉など公益活動を行い、そのことによって国等は本来支出すべき歳出を軽減できるということ、

② 株式会社であれば会社の利益は株主に分配すべきものだから、法人の儲けは結局個人株主の儲けとして課税すればよいことになりますが、個人に配当するまで課税しないとすると配当をずっと先送りして法人にため込もうという節税策がとられます。それでは困るので、税制は、法人段階でまず課税し、個人段階で配当に所得税が課されるときに事前に払った法人税分を調整しようという所得税の仕組みにして、法人税は株主の所得税分の前取りということにしたのです。

 

この考え方からすると、宗教法人は、営利を目的とするものではなく、その利益を関係者に配分することも予定されていず、宗教法人は利益を得ても、出資者に配分することなく、出資者は宗教法人活動から個人所得としての配分を受けることもないので、個人所得税の前取りとしての法人税の対象にする必要が本来ないとされてきたのです。

 

 これでは当然、事業者は、公益法人で事業を行うと非課税なら、民間会社でするのではなく、公益法人で事業をすればよいとみんな考え、公益法人を設けて、配当ではなく給料や退職金として支払えばよいというふうになったのです。

そこで、現行の法人税は、通常、民間企業が行う事業を「収益事業」と規定し、公益法人が行った場合も課税し、民間企業との公平性を維持しようとしているのです。ですから、現在は厳密には、宗教法人は非課税ではありません。物品販売業など「収益事業」を行うと法人税がかかります。

 では、宗教法人がよく行っているお札やおみくじの販売は、収益事業に該当するのでしょうか? 国税庁の説明によると、「お守り、お札、おみくじ等の販売のように、その売価と仕入原価との関係からみてその差額が通常の物品販売業における売買利潤ではなく、実質的な喜捨金と認められるような場合のその物品は、収益事業に該当しません。しかし、一般の物品販売業者においても販売されているような物品(絵はがき、線香、ろうそく、供花、数珠、集印帳等)を通常の販売価格で販売すると収益事業に該当します(なお、線香、ろうそく、供花等の頒布であっても、専ら参詣に当たって神前、仏前等にささげるために下賜するものは収益事業に該当しません)。」と説明しているのです。おみくじ等は原価が安くそれを高い値段で買っているのだから、これは喜捨であり寄附しているのだと(神様・仏様は原価でお守り、お札をくださってもいいような? みかたによっては、暴利を得ていると思う人もいるのでは?)、一方絵はがきは原価に基づく通常の価格で買っているのだから、事業だということだそうです。わかったような、わからないような説明では?と思うのです。

 

 青学の三木先生は、現行の収益事業という難しい区分をしないで、宗教法人(公益法人)は、原則課税をすべきと主張されています。 

では、宗教法人から法人税を取ったらどうなるのでしょうか? 

宗教法人の主張と三木先生の主張は次の様になります。

  宗教法人の主張 三木先生の主張
宗教法人から法人税を取ったらどうなるか 現在非課税にされているものに課税しても税収は上がらない。民間企業は利益を出さないと株主から追及されるが、宗教法人にはその圧力がないので、法人税を払うくらいなら、経費をだしてしまった方がいいので、結局課税になる所得は残らない。 所得が残らなくても、法人税を払う代わりに給料を上げれば所得税がかかるし、経費をいっぱい払えば、受け取った業者の所得は増えるから、全体でみれば税収は上がる。

 母親の手術代を負担するために一生懸命働いたバイト料だって課税対象です。宗教活動に伴う収入は神聖なものだから税金は払わなくてもよいのでしょうか? 神聖さは様々です。 神様・仏様それでいいのでしょうか? 教えてください!! 青学の三木先生は、こんな主張をされているのです。

 

その他、この本には、暴力団に課税できるか?必要経費を考える、政治団体と税、印紙税はいらない等の税のタブー問題が述べられています。

税のタブーに興味ある方は是非この本を購入して一読を!

 ちなみに、私は、青学の三木先生とは縁もゆかりもありませんから・・・

 最後に、原監督、2020箱根駅伝の健闘をお祈りします。

 

広島税理士法人